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のどの代表的な疾患アーカイブ

睡眠時無呼吸症候群

症状
 睡眠時の症状として、いびき、無呼吸、寝相が悪いなどがあります。日中の覚醒(かくせい)時には頭痛、眠気、性格の変化などが認められます。
 いびきは、睡眠時に発生する粘膜の振動音で、睡眠時無呼吸症候群を疑う重要な症状です。肥満、アルコール摂取時、睡眠薬などのある種の薬物の服用、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(ふくびくうえん)などの鼻疾患の存在、咽頭扁桃部の炎症などが原因となりえますので、区別する必要があります。
原因
 睡眠時の無呼吸が主な病態であるため、睡眠中の呼吸動態のモニターが必須となります。
 睡眠中のさまざまな生理学的指標を測定するポリソムノグラフィー(後述)によって検査が行われ、これにより睡眠時無呼吸症候群は、(1)呼吸運動が停止するために無呼吸となる中枢型、(2)呼吸運動は持続しているが、上気道がふさがるために無呼吸となる閉塞(へいそく)型、(3)両者の混合型の3型に分類されます。
 中枢型は呼吸中枢(延髄(えんずい))の障害により起こりますが、極めてまれな病態です。一般に問題になる場合のほとんどは、上気道がふさがる閉塞型です。小児ではアデノイド、成人では肥満が重要な原因です。日本人はあごが小さめであるため、必ずしも肥満者のみに限りません。
検査内容
 いびきが強く、いびきの後に呼吸が止まるようであれば、かなり疑いが濃いといえます。若いころに比べて体重増加が著しい場合にも注意が必要です。
 自己判断の参考として詳細な問診を行い、 ポリソムノグラフィーでは睡眠中の脳波、眼電図、筋電図、口と鼻の気流、胸腹部の呼吸運動、心電図、酸素飽和度などを終夜にわたってモニターします。無呼吸が一晩に30回以上か、1時間あたりの無呼吸の回数が5回以上の場合に診断が確定します。あるいは呼吸運動が低下し、かつ酸素飽和度が低下する時には、無呼吸と同等な病的意義があると考えられます。
治療方法
 肥満に対しては体重の減少を図ることが第一で、多くの場合はこれだけで病態の改善が期待できます。上気道の閉塞の原因がアデノイド、口蓋扁桃肥大(こうがいへんとうひだい)や形態異常など、明らかである場合は、手術が行われます。
 睡眠時無呼吸症候群に対しては、経鼻的持続陽圧(けいびてきじぞくようあつ)呼吸(CPAP)が有効です。これは鼻を覆うようなマスクを装着し持続的に陽圧を加えることで、上気道を強制的に開かせておくものです。 薬物療法により呼吸を促進させることもあります。

溶連菌感染症

症状
溶連菌の咽頭炎では、潜伏期はおおよそ2~5日です。
主に2~10歳頃に多く(ピークは5~10歳頃)、成人には少ないといわれています。
また季節的には、12~3月に一番多く、7~9月が一番少ない。
主な症状は次のようなものです。
(これらの症状は、すべて出るわけではありません。特に1~3歳ぐらいでは症状が少ないこともよくあります。)
(1)咽頭炎・扁桃腺炎
 発熱(90%以上)、のどが痛い、のどが赤い、扁桃腺に白いものがつく。(そのために口臭があることも多く、血液の混じった黄色い痰が出ることもある)
(2)口蓋の点状紅斑・点状出血斑
 口の中の口蓋垂(のどちんこ)を、中心に赤い小さな点状の出血斑が認められます。
(3)イチゴ舌
 舌の表面が、イチゴの表面のようになることがあります。(発病2~4日目)
(4)全身発疹
 顔や股のところに、小さい赤い発疹が多数出現します。(発病1~2日目)
 かゆみを伴うことも多いようです。(猩紅熱)
(5)皮膚落屑
 いろいろな症状が消えた後(5~6日目以降)に手や足の指先から
 皮がめくれてきます。
(6)その他の症状
 頭痛・だるさなどの発熱に伴う症状などが認められますが、
 咳・鼻水などの一般的なかぜの症状は、他の感染症に較べると少ない。
 嘔吐を伴うことはありますが、下痢はあまりありません。
原因
溶連菌が患者の咳やくしゃみで飛び散り、それを他の人が吸い込んで感染する「飛沫感染」が一般的な伝染の原因です。潜伏期は2~5日です。一般的には、溶連菌感染症と呼ばれるのは、溶連菌性咽頭炎です。
感染した人の、鼻水や痰には、この溶連菌が排菌されるため、これらの処理が適切に行われなければ、保菌者が原因でどんどん広まることになります。
また、溶連菌は、食品中でも増殖し得るため、まれには、溶連菌に汚染された食品による集団感染も見られます。なお、溶連菌は膿痂疹(とびひ)などの皮膚の病気の原因にもなりますが、この場合も患者との接触で広がります。
検査内容
(1)A群溶血性連鎖球菌迅速診断キット
 綿棒で、のどの菌を採取し検査します。溶連菌かどうか数分で診断できます。
 ただし溶連菌だけしか判定できません。また検査前に抗生物質を飲んでいると正確には診断できません。
(2)咽頭培養検査
 同じく綿棒でのどの菌を採取し検査します。溶連菌だけでなく他の細菌も診断できます。ただし検査には数日を要します。この検査も、検査前に抗生物質を飲んでいると正確には診断できません。
(3)血液検査
 他の細菌感染と同じように白血球が増えたり、CRP(炎症の数字)が上昇したりします。またASOやASKなどの抗体検査もありますが、抗生物質で治療した場合は、抗体は上がらないことが多いようです。
治療方法
溶連菌感染そのものは、普通の抗生物質を2~3日飲めば、すぐ治まりますが、急性腎炎・リウマチ熱・血管性紫斑病などの合併症を防ぐために、10~14日間、抗生物質を飲むことが勧められています。(どの程度抗生物質を飲めば、どの程度合併症を防ぐことが出来るかは、はっきりしませんが、実際にこれらの病気が最近あまりみられないことから考えて、それなりに有効であると考えられます)また念のために3週間後ぐらいに、検尿や咽頭培養検査をする医院もあります。

習慣性扁桃炎

症状
 急性増悪期には、急性扁桃炎と同じ原因、症状です。咽頭痛、嚥下痛(えんげつう)、発熱、全身倦怠感(けんたいかん)、耳への放散痛などが症状としてあげられます。口蓋扁桃(こうがいへんとう)は赤くはれ、白い塊(膿栓(のうせん))が付着します。頸部(けいぶ)(首)のリンパ節が腫大して痛みを伴うことがあります。
 急性期が過ぎると、慢性単純性扁桃炎の状態になり、軽いのどの痛み、乾燥感、微熱があったり、またはほとんど症状のない場合もあります。
原因
 急性扁桃炎を年に3~4回繰り返すようになると、習慣性扁桃炎または反復性扁桃炎と呼びます。小児期に多く、小学校入学前にピークとなります。
検査内容
 急性扁桃炎の場合とほぼ同じですが、細菌の慢性感染があることを示す血液中のASO、ASK測定を追加して行います。
治療方法
 保存的な薬物治療にもかかわらず、扁桃炎を繰り返し、扁桃に膿栓を認め、頸部リンパ節が腫大し、血清ASO、ASK値の上昇を認める場合には、本人または家族と相談して、口蓋扁桃、咽頭扁桃(アデノイド)を摘出します。現在のところ、明確な扁桃摘出術(コラム)のガイドラインはありませんが、藤原らの手術基準は以下のようなものです。
 急性扁桃炎の年間罹患(りかん)回数が4回以上の非扁桃摘出症例の追跡調査から、扁桃摘出インデックス(年間罹患回数×罹患年数)を算出し、8以上を扁桃摘出の適応としています。
 扁桃は免疫器官であるので、むやみに摘出するものではありません。しかし、繰り返す扁桃炎が日常生活の質に影響するようであれば、積極的に扁桃摘出を考慮したほうがよいでしょう。
症状
 以下のような症状が、主に幼小児期にみられます。
(1)鼻の症状
 鼻腔と咽頭の間が閉塞(へいそく)されることによって、鼻づまり、いびきが大きい、などの症状が現れます。乳児では哺乳がうまくできなくなることもあります。口で呼吸するためにしまりのない顔つきになりますが、これはアデノイド顔貌と呼ばれています。
(2)耳の症状
 難聴になることもあります。中耳と咽頭は耳管という管でつながっているため、アデノイドの肥大で滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)になりやすくなります。
(3)全身症状
 口蓋扁桃やアデノイドの肥大が原因で夜間の呼吸が妨げられ、睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)の原因にもなります。そして、昼間には注意力散漫、行動に落ち着きがない、などの症状も現れます。
原因
 咽頭(いんとう)(のど)には扁桃(へんとう)と呼ばれるリンパ組織の集まったものがあり、外界から細菌やウイルスが体に侵入しようとするのを防御する役割を果たしています。口蓋垂(こうがいすい)(のどちんこ)の横に左右一対ある口蓋扁桃(こうがいへんとう)、鼻腔の奥にある咽頭扁桃(アデノイド)が代表的な扁桃組織です。
 アデノイドは3歳ごろから増大し始め、6歳ごろに最も大きくなりますが、そのあとは次第に萎縮(いしゅく)します。通常はアデノイドの肥大は病的な意味をもたないのですが、時に肥大に伴ってさまざまな症状の現れることがあり、アデノイド増殖症と呼ばれています。
検査方法
 鼻からのファイバースコープ検査などにより、診断は比較的容易です。X線検査も有用です。まれですが、腫瘍(しゅよう)が疑われる場合には組織を一部とって検査をすることもあります。
治療方法
 アデノイドは年齢とともに萎縮するので、先に述べた諸症状が軽度の場合には積極的な治療はしませんが、症状の強い場合にはアデノイド切除術を行います。手術は全身麻酔をかけて口のなかから行うので、外から傷が見えることはありません。